「半生」の場合、最終工程で熱を加えることにより日持ちをさせる製造方法では、味や食感が熱を加える前よりも落ちてしまうと感じているため、本来、素麺自体がもつ美味しさを味わっていただきたく、あえて熱は加えません。

その方が機械的に乾燥度合いを管理しやすくなりますが、私はあえて長年の勘で、乾燥の度合いを見極めることのみで「半生素麺」をつくります。この「見極め」が難しく、生すぎてもダメ、乾燥しすぎてもダメ、その日その日の天候や湿度を見ながら、指の背中で優しく麺にふれ絶妙な麺の乾燥度合いを確かめるんです。

そうですね、私は代々続く素麺職人の息子として、子供の頃から生活の一部に素麺づくりがありましたから、職人としての勘が自ずと育ち、その「見極め」が出来ているのだと思います。もちろん生地づくりや熟成などにも代々受け継いできた技を活かしています。粘りやコシにもこだわった本物の「半生素麺」の美味しさをぜひ味わってください。