おいしく健康「オリーブ通信」(葉月)/2016年8月:第3号「夏の体調不良を体質別に考える!」

体調を壊しやすいこの時期こそ、夏の食養生で元気に毎日を過ごしましょう!

トマトと豆腐のカプレーゼ

トマトと豆腐のカプレーゼ

ニラとエビの卵とじ 黒酢あんかけ

ニラとエビの卵とじ 黒酢あんかけ

体質や体調を考えた食養生

食養生(しょくようじょう)とは、健康を維持するために体質や体調に応じて作った食事をとったり、あるいは節制したりする、いわば薬膳の基本です。国際薬膳師の尹玉(インユイ)さんによれば、

「中医学(中国伝統医学)でいうところの夏は、自然界に生きるものの成長や実りの時期にあたります。それにともなって、私たち人間の身体も陽の気が一番旺盛になるころ。本来はやる気がみなぎり活動的になる季節ですが、夏バテという言葉が象徴するようにこの時期は、夏の暑さと湿度によって身体に熱を必要以上に溜め込んだり、エアコンや冷たい物を食べ過ぎたりすることによる冷えから体調を崩す人も少なくないですね」

と話します。
例えば、同じエアコンの効いた部屋にいても、暑いと感じる人と寒いと感じる人がいます。暑いと感じれば体内に熱がこもっている状態ですし、逆に寒ければ身体が冷えている証拠。このように体質の違う人たちが同じ性質の食材を同じ調理法でとった場合、どちらかが体調を崩してしまうのは薬膳的見地からすれば当然のことなのです。

「熱こもり」か「夏冷え」か体質に合わせた食材選び

熱こもりタイプ

熱こもりタイプ

夏冷えタイプ

夏冷えタイプ

そもそも食材には身体を冷やすもの温めるものなど、寒性、涼性、平性、温性、熱性といった5つの特性があります(下図参照)。これらを体質や体調に合わせて、正しく選び調理することが食養生、つまり健康につながると薬膳では考えます。夏によく見られる体調不調は大別すると2パターンで、身体に必要以上の熱がこもる「熱こもり」か、エアコンや冷たい物の食べ過ぎによる「夏冷え」になります。

食材が持つ5つの特性

食材が持つ5つの特性

参考資料:『薬膳・漢方食材&食べ合わせ手帖』(西東社)

「トマト、スイカ、キュウリなど、いわゆる夏野菜は身体を冷やす特性がある食材です。これらを夏冷えしている人が食べると、冷えがさらに進み体調を崩してしまいます。そこで、ご家庭でも簡単にできる食養生として、エアコンが効いた部屋の中で寒いと感じる人には温める温性や熱性の食材を、暑いと感じる人には冷やす涼性や寒性の食材を用いて調理されることをおすすめします

と尹玉さん。「熱こもり」と「夏冷え」タイプに対応したメニューを次のページでご紹介していますので、どうぞ夏の食養生にお役立てください。

薬膳アドバイザー国際薬膳師・尹 玉(インユイ)さんプロフィール
中国黒竜江省生まれ。
日系企業でキャリアを積んでいた時に、大病を煩ったのがきっかけで薬膳の道へ。現在は福岡で薬膳レストラン「天地・礼心」のオーナーでありながら、「東方薬膳学園」にて学院長を務める。