美しい祈りの島「小豆島」で
小豆島八十八ヵ所霊場を巡る旅vol.7
~日本の原風景・美しい「千枚田」編~

こんにちは。井上誠耕園の広報担当・斉藤です。
小豆島で暮らし始めて7年。この夏、ずっと気になっていた「小豆島八十八ヶ所霊場巡り」に挑戦してみることにしました。小豆島を自分の足で歩き、祈り、改めてみつけた島の魅力をお伝えしていきます。

歩くと汗だく!

\お遍路日記vol.1~vol.6はこちらから▼!/
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■日本古来の田園風景にうっとり

お遍路2日目!今回のお遍路コースは、島の中でも屈指の名所「千枚田(棚田)」が楽しめる「中山地区」を歩く、美しいお遍路コースです。
道を歩きながらふと目に入ってきた田んぼを見ると、丁寧に稲を手植えする島の人たちの姿がありました。

▲こんな場所で作られたお米は絶対美味しいに違いない!

段々に連なっている棚田は機械で植えられるところもありますが、端の方など機械が入れないところは、全て手植えをするそうです。
暑い中、本当にお疲れ様です!

早速1カ所目の第四十三番札所「浄土寺」を抜け、険しいへんろ道に入りました。

▲第四十三番札所「浄土寺」

▲次の札所、「湯舟山」につづく道。なんだか可愛らしい看板。

▲道案内はあるけど…本当に歩けますか!?と不安になるへんろ道

そしてやっと到着!第四十四番「湯舟山」。

▲第四十四番札所「湯舟山」

本堂の前には、巨大な杉の木がそびえたっています。

穴の中が気になってのぞくと・・・
なんと!
お地蔵様がいました!!!(びっくり!)

▲巨大な杉の木。杉の中からお地蔵様がこんにちは。

そして境内には、「湯船の水」と称された水源が。

▲かっこいい竜がいっぱい!「湯船の水」

この湯舟山、すごい場所でした。
実は、先にもご紹介した中山地区の棚田が美しさを保っていられるのは、この湯船の湧き水のおかげなのです。
名水百選に選ばれている湯船の湧き水が田んぼに流れこむことで、棚田の稲穂を潤し続けてくれており、水田が枯れてしまうことなく生き続けているのです。

そしてその水源としての重要な役割を果たしているのが、周辺に生息する自然林。
湯舟山の境内にもあるクスノキやカヤなどの樹木が、地域全体で保護されているからこそ、名水が守り続けられ、日本の原風景ともいえる中山地区の棚田が今の時代にも残っているという訳です。

▲日本の棚田百選にも選ばれている、中山地区の「千枚田」。お遍路道から見渡せます。

全国的に休耕田は増え続けており、小豆島でも今や珍しくなっているこの風景。
ここ中山地区でずっと残り続けているのは、自然と自然を大切にする人たちのおかげなのだと実感しました。

■美しい千枚田をずっと永遠に。

農業と人々の暮らし、そして祈りの文化が結びついた中山地区では、地域の人たちが守ってきたたくさんの伝統行事があります。

▲中山地区の「農村歌舞伎」 撮影/芥川仁

まず一つ目は、「農村歌舞伎」。
約300年もの歴史があるこの郷土芸能は、お伊勢参りに出かけた島民たちが、上方の方々に教わったことがきっかけでした。
きっかけがお伊勢参りというのが祈り島らしいエピソードです!

その頃盛んに行われていた上方歌舞伎に心奪われた島民は、歌舞伎の場面を描いた絵馬や衣装を持ち帰り、自分たちで演じるようになったことから、その歴史が始まりました。
演者はもちろん、衣装・メイク・裏方・音楽まで全て地域の人たちで行っており、地域の結びつきが深くなければ絶対に成り立たない伝統芸能です。
300年も守ってきた島の人々の努力には脱帽です。
その貴重さから香川県の無形民俗文化財にも選ばれています。

▲中山地区の伝統行事「虫送り」

2つ目は「虫送り」。夏至から11日目の半夏至の日に、豊作を願う行事であるこちら。
その歴史は江戸時代にまで遡り、2010年には映画「八日目の蝉」で一躍有名となりました。
火手(ほて)と呼ばれる松明をかざし、棚田脇にある畦道を歩いて稲につく虫を追い払います。
実はそのスタートは、今回ご紹介した第四十四番札所「湯舟山」での神事から始まるのです!
夕暮れ時に棚田を美しく照らすオレンジ色の光が何とも幻想的で、心奪われる伝統文化です。

どちらもコロナウイルスの影響で中止が続いておりますが、中山地区の地域の人たちの絆の深さが、これまで美しい千枚田や伝統行事を守り支えてきたことは紛れもない事実。
一人でも多くの人にその素晴らしさを知ってもらいたいと感じます。

これからもずっと、この美しい光景が続いていきますように。

本件に関するお問い合わせ
井上誠耕園 広報担当 斉藤
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