こんにちは。井上誠耕園の広報担当・斉藤です。
小豆島で暮らし始めて7年。この夏、ずっと気になっていた「小豆島八十八ヶ所霊場巡り」に挑戦してみることにしました。小豆島を自分の足で歩き、祈り、改めてみつけた島の魅力をお伝えしていきます。
※前回は「夏至」の季節に合わせて、急遽「夏至観音」が見られる第一番霊場「洞雲山」をご紹介したのですが、今回はまた私のお遍路旅に戻って、第五十三番札所「本覚寺」の続きからご紹介します。
■小豆島88か所霊場にしかない「庵」の知られざる魅力
本覚寺を出て、海岸線が美しい海沿いの道をひたすら歩くと、道端に突如右方向を指す手が刻まれた「石手印」が現れました。
石手印はお遍路道の至る場所にあり、霊場の方向を指し示してくれるありがたい石です。
石には「第六十六番等空庵(とうくうあん)」とあります。
実はこの「庵」、小豆島霊場特有のもので、四国八十八カ所霊場に「庵」はありません。
「庵」は、お寺や院に比べると小さな建物ですが地元の人たちが集まる集会場のようなところでもあり、人は常駐していませんが、その地域ごとに大切に管理されています。
前々から、小豆島遍路は「庵」があるから面白い!と聞いていた私はワクワクしながら、手が指さす方へ向かいました。
到着しました、第六十六番「等空庵」。
なんだか味がある等空庵は、中に座れる場所がありました。
先達さん「ちょっと休憩!おにぎり食べてもいい~?」
ということで、
昼食用に握ってきたおにぎりを一ついただきました!
おにぎりを食べながら天井を見上げると、阿弥陀如来様が描かれたものや、ご真言が書かれたものなど、昔話に出てきそうな額縁が並んでいて、それを見るのも楽しい時間でした。
人がずっといる場所ではないのにとてもきれいに管理されていて、地域の人たちがいかに大切にしてきたかが分かります。
この場所から人と霊場の深いつながりが感じられ、小豆島遍路の新たな魅力を発見できました。
そして、この等空庵がある付近は、昔ながらの古い町並みが残っていて、とても風情があるのです。
■息をのむ美しさ「松林寺」
続いて向かった第六十八番札所「松林寺(しょうりんじ)」は、こんな美しいお寺があったのか、と驚くほどの美しさでした。
本堂の中で読経すると、声が響いてとても気持ちよかったです。
いるだけで心地よくなれる、「松林寺」。
私は島にいながら一度も訪れたことがなかったので、「こんな場所があったのか」と新たな発見でした。
松林寺を訪れたあとは、小高い丘にある第六十七番札所「瑞雲堂(ずいうんどう)」、そして集落の高台にある第六十九番札所「瑠璃堂(るりどう)」に向かい、美しい町と海が見渡せる景色に感動して、遍路道に戻りました。
■嬉しい嬉しいお接待
瑞雲堂から瑠璃堂に向かう途中、「お~い!」と後ろから突然声が聞こえてきました。
びっくりして振り返ると、何と紙袋を持ってこちらに走ってくる女性の姿が。
「暑いのにお遍路、お疲れ様。
ちょっとやけど、飲んでね。」と、
まさかのお接待!!
小豆島にはお遍路さんへのお接待文化が根付いているとは聞いていましたが、その優しさに感動しました。
実はこの方は、歩いている途中で一度お会いしていて挨拶してお別れしたのですが、
その後飲み物を用意して、必死に追いかけてきてくれたのです。
「若いんやから、日焼けせんようにちゃんと帽子かぶっときよ~」と声をかけていただき、
温かい言葉に胸が熱くなりました。
次の札所で、もらったジュースをいただきましたが、
長い間太陽の下で歩き続けていたこともあり、
柑橘の酸味が効いたジュースが本当に本当に美味しくて、
心から「ありがたい」と感じました。
お遍路には、人の心を普段の10倍くらい震わせる魔法があるのではと思うのです。
お遍路に行くと、何気ない事でもとても嬉しく、口にするものはとても美味しく、「ありがたい」という気持ちがあふれてきます。
そして“人のやさしさは、どんな時も人を癒すんだなぁ”“私も人にやさしくありたいなぁ”と、改めて実感した一日でした。
メール:h-saito@inoueseikoen.co.jp
〒761-4301 香川県小豆郡小豆島町池田882-6
TEL:0879-75-1355
FAX:0879-75-1612
HP:https://www.inoueseikoen.co.jp