低迷する国内の柑橘果実の価値向上を目指して
作業効率を5倍(果汁)~10倍(皮)向上した柑橘加工場を新設

低迷する国内の柑橘果実の価値向上を目指して 作業効率を5倍(果汁)~10倍(皮)向上した柑橘加工場を新設

小豆島のオリーブと柑橘の農園、井上誠耕園(所在地:小豆島町池田、園主:井上智博)は柑橘の原料加工を中心とする食品加工工場を新設します。2月1日に本稼働を開始し、八朔や甘夏など中晩柑類の加工量を増やすことによって柑橘のさらなる可能性を探り、価格低迷が続く加工原料用果実の取り扱いを増やしていく予定です。

加工用果実の価格低迷が課題の柑橘市場

日本の柑橘市場は縮小傾向が続いています。特に加工原料用果実は値段の安い外国産オレンジに圧倒され、1986年は64万2,000トンだった加工用温州みかんの出荷量は2012年には約10分の1の6万5,300トンにまで減少。(※2) 取引額も生食用167円程度/1kgに対し加工用10円程度/1kgと価格の低迷が顕著です。(※3)
井上誠耕園は八朔という中晩柑(中晩生柑橘)の栽培をもって創業した農園であり、現在はオリーブの六次産業化を中心に付加価値を高めていますが、原点である柑橘でも国内の柑橘農家と連携して低迷する加工用柑橘の価値を向上させたいと思っています。

生産性5倍~10倍向上の新工場で柑橘の付加価値追求へ

当園は12月26日に小豆島町蒲生にある農園・工場・店舗の複合施設「らしく園」内に柑橘の原料加工工場(Iプレイス)を新設します。総事業費約1億円をかけた同工場には、搾汁機のほか、新たに果汁ろ過機や乾燥機、細断ができるスライサー、煮炊き用の煮沸釜などを導入。作業効率は果汁原料処理で約5倍、皮処理で約10倍向上します。
新工場ではジャムやジュースなどの柑橘加工品を作るための果汁や果肉の処理・製造に加え、ゼリーやピール製品などの新商品も製造する予定です。
農産物を加工する過程では、原料加工(作物を製品化するための下処理)をいかに効率よく行うかが大きな課題の1つです。新工場での作業効率の向上により、収穫から処理までの時間を短縮することで、原料が新鮮なまま加工・保存できるようになります。

同工場の生産力の向上に伴い、当園で栽培する14種類の柑橘の加工のほか、愛媛県の柑橘農家と提携することで増産体制を強化。今後、柑橘をいかしたスイーツ工房の新設などにより、柑橘の魅力の発信と増産した原料の安定的な使用につなげる構想です。原料に付加価値をつける柑橘加工品の事業を展開することで、低迷する加工用の柑橘果実(※1)の価値向上と柑橘農家の所得向上を目指します。

なお、本稼働開始の2月1日には報道関係者の内覧時間を設ける予定です。ご取材希望の方は下記の問い合わせ先までご連絡くださいますようお願い申し上げます。

(※1)参考資料参照
(※2)社団法人日本果汁協会「果汁関係資料」による
(※3)農林水産省「果樹をめぐる情勢」(平成28年7月)

【参考資料】

加工用柑橘果実の現状について

日本の柑橘市場は1970年代以降のみかんの価格暴落や1990年代のオレンジ輸入自由化により全体として縮小傾向が続いています。(※4) 生食用果実については愛媛県を中心とした新品種の高級中晩柑や、海外の富裕層向けの輸出が一部勢いを見せていますが、果汁などの加工用原料は値段の安い外国産オレンジに対抗できていないのが現状です。平成28年の農林水産省の資料によると温州みかんの原料価格は、生食用が1キログラムあたり167円程度なのに対し、加工用は1キログラムあたり10円程度と著しく安くなっています。このように、栽培過程で必ず生じる規格外の果実は、出荷しても利益にならないため廃棄してしまう農家もあります。

(※4)農林水産省統計調による

施設概要

(有)井上誠耕園 Iプレイス (柑橘加工場)
住所:香川県小豆郡小豆島町蒲生字西風呂甲167
構造:鉄骨造
延床面積:230.66㎡
総事業費:約1億円
設備:搾汁機、煮沸釜、果汁ろ過機、スライサー、乾燥機
必要人員:初年度は3.6名、将来的には17.4人での稼働を予定

本件に関するお問い合わせ
井上誠耕園 広報担当 八十(やそ)、西里
メール:yaso@inoueseikoen.co.jp
〒761-4301 香川県小豆郡小豆島町池田882-6
TEL:0879-75-1355
FAX:0879-75-1218
HP:https://www.inoueseikoen.co.jp