せいこうえんだより[小豆島のオリーブオイル 井上誠耕園]

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Olive3(2007年6月11日発行)
せいこうえんだより3   「井上誠耕園ものがたり」 第一話 
井上勝由(二代目)談
 今年の秋で井上誠耕圃は61年になります。これから数回に分けて今日に至るまでの井上誠耕園をちょっとご紹介させていただきます。
 元々、井上家は代々続く宮大工でした。しかし初代の井上太子治(いのうえたすじ)は、大工の仕事があわず40代になってから商売を始めました。しかし、時はちょうど戦時中。食糧難はもちろん苦労の連続で暗中模索の日々でした。
 そんななか昭和15年にどんぐり畑の開墾を始め、その当時なかなか手に入らなかった蜜柑の木を植えました。また、昭和21年には農業試験場の担当官に勧められたのがきっかけでオリープを植樹。これが「井上誠耕園」の始まりです。その後は、丹精を込めて蜜柑とオリープを育てる毎日。また元大工の腕をふるい作業小屋も建てました。そしてやっと蜜柑が順調に出来始めた昭和36年。小豆島は大型台風に襲われ、井上誠耕園の畑も一晩にして蜜柑の木や作業小屋、すべてが流されてしまったのでした。(つづく)

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Olive4(2007年9月29日発行)
せいこうえんだより4   「井上誠耕園ものがたり」 第二話 
井上勝由(二代目)談
 元々宮大工の家系だった井上家。初代井上太子治(いのうえたすじ)が昭和21年に一本のオリーブの木を植えた事から井上誠耕園が始まりました。順調に農園の開拓が進みはじめた昭和36年小豆島が大型台風に襲われ、一晩で畑や作業小屋すべてが流されてしまいました。しかし井上太子治はそこで諦めることなく、家族を励まし一から農園作りに汗を流しました。再び家族全員で力を合わせて農園作りに励んだのです。井上太子治は晩年「農業だけ出来る事は幸せだ」と話す程、農業を愛し、そして小豆島の為に力を尽くした人でした。
 父と共に園地で働いていた私(井上勝由)は農園作りを手伝い、そして父の志を受け継ぎました。
 しかしその頃日本では、オリーブオイルがあまり知られておらず、オリーブの実を加工できるのは島外の会社のみで出荷量がかなり限られていました。そのために収益はほとんどなく、せっかく苦労して作ったオリーブオイルが何もできずにただドラム缶に入ったままで何本も溜まっていく、そんな状況を何とかしようと心に誓ったのです。(続く)


Olive5(2007年10月29日発行)
せいこうえんだより5   「井上誠耕園ものがたり」 第三話 
井上勝由(二代目)談
 元々宮大工の家系だった井上家。初代井上太子治(いのうえたすじ)が昭和15年に一本のみかんの木を植えた事から井上誠耕園が始まりました。様々な困難を乗り越え、やっとオリーブオイルの搾油が出来るまでになりましたが、またしても乗り越えなくてはならない大きな壁が待っていました。収穫したオりーブの実の加工技術が小豆島内にはなかったのです。私(井上勝由)は何とかしようと農業試験場の職員の方と共にオリーブの加工技術の研究を始めました。そしてまず出来上がったのがオリーブの酢漬け(ピクルス)でした。しかし酢漬けにすると日持ちはしますがオリーブのきれいな緑色が失われ、味も日本人の口に合わないものでした。そこで考えたのが、塩水で漬ける浅漬け=現在の新漬けオリーブでした。
 またみかん畑では、昭和40年代に入ってやっと成木になったみかんが多くの実をつけ始めました。当時収穫した柑橘の果実は全て農協(現在のJA)へ出荷していました。その頃、自宅の近所にお遍路さんが宿泊する旅館があり、人と話をするのが好きだった私は、よくそのお遍路さんの旅の話を収穫した蜜柑をお出ししてお聞きするのが常となっていました。そして「お蜜柑が美味しい、美味しい」と感激した方がぜひ家に持って帰りたいとお送りしたのが皆様へお届けするきっかけとなったのです。(続く)

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Olive6(2007年11月20日発行)
せいこうえんだより6   「井上誠耕園ものがたり」 第四話 
井上勝由(二代目)談
 元々宮大工の家系だった井上家。初代井上太子治(いのうえたすじ)が昭和15年に一本のみかんの木を植えた事から井上誠耕園が始まりました。その後様々な困難を乗り越えて、やっとオリーブ、みかんが順調に収穫できるようになったのが昭和40年頃。またその頃にはオリーブの実の加工技術を研究し、塩漬けしたオリーブをお土産として販売し始めました。
 しかし、まだまだ日本ではオリーブのことが知られておらず、需要も少ないのが現実でした。そのようななか、昭和40年代後半、加えてオリーブオイルを料理用のオイルとして製品化し販売を始めたのです。
 ある日、農業試験場の人からとても興味のある話を聞きました。「オリーブオイルは食べたら健康にえいし、身体につけてもえいんやで。」私は半信半疑で、毎日風呂上りに農作業で荒れた自分の手肌につけてみました。すると、不思議なくらい荒れた素肌が日に日にすべすべとしてきたのです。そして、冬にはしもやけでひどく荒れた息子の手に使ってみると、これまた子供らしいつやつやの肌になってきたのです。私は自分で試す事で、改めてオリーブの良さを実感したのです。(続く)


Olive7(2008年2月29日発行)
せいこうえんだより7   「井上誠耕園ものがたり」 第五話 
井上勝由(二代目)談
 元々宮大工の家系だった井上家。初代井上太子治(いのうえたすじ)が昭和15年に一本のみかんの木を植えた事から井上誠耕園が始まりました。その後様々な困難を乗り越えて、オリーブ、みかんを収穫し、塩漬けしたオリーブやオリーブオイルを小豆島のお土産として販売し始めました。
 オリーブオイルを自分自身や家族に使ってみて、良さを実感していた私は「皆さんに小豆島のオリーブオイルを知っていただきたい。そのためにはどうしたらいいのか。」と考えていました。ちょうどその頃、ある人から「映画俳優や女優さんが外国産のオリーブオイルを使っている。」と聞き、私は直接東京の映画会社へ向かいました。なんとか映画会社の方に会うことができ、小豆島のオリーブオイルのことを一生懸命話してみましたが、残念ながら私の熱意が届かず結果は上手くいきませんでした。
 しかし私はあきらめることなく、自分自身を信じてオリーブを育て続けたのです。(続く)

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Olive8(2008年3月29日発行) せいこうえんだより8
 


Olive9(2008年5月29日発行)
せいこうえんだより9   「井上誠耕園ものがたり」 第六話 
井上勝由(二代目)談
 元々宮大工の家系だった井上家。初代井上太子治(いのうえたすじ)が昭和15年に一本のみかんの木を植えた事から井上誠耕園が始まりました。その後様々な困難を乗り越えて、オリーブ、みかんを収穫し、塩漬けしたオリーブやオリーブオイルを小豆島のお土産として販売し始めました。
 昭和50年代になり、オリーブオイルのお肌への良い効果を皆さんにも実感していただきたいとの一心で、厳選したオリーブの実から化粧用ヴァージンオリーブオイルへの製品化に成功しました。
 「ぜひ小豆島のお土産に」と当時まったく舗装されていなかった島中の道を50ccのバイクで配達したりと大変なことの方が多かったように思いますが、とにかく前向きに一所懸命やってきました。
 今振り返るとここまでやってこれたのは家族や周りの人達の支えがあったおかげで「本当にありがたいな」と心から思っています。(続く)

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Olive10(2008年6月29日発行)
せいこうえんだより10   「井上誠耕園ものがたり」 第七話 
井上勝由(二代目)談
 元々宮大工の家系だった井上家。初代井上太子治(いのうえたすじ)が昭和15年に一本のみかんの木を植えた事から井上誠耕園が始まりました。その後様々な困難を乗り越え、みかんや収穫したオリーブから塩漬けのオリーブやオリーブオイルを作り小豆島のお土産として販売し始めました。
 販売が軌道に乗り始めたと同時に私の中で一つ悩みがありました。それは後継者のことです。息子達2人にこの仕事を引き継いでもらいたいと思っていましたが、父親として自分がしてきた苦労を息子達にさせたくはありませんでした。また本人がやりたいというならそれも良いが、それぞれが歩みたい道を行ってくれればそれでいいと、昔人間の私にはどうしても「跡を継いで欲しい。」と口に出すことが出来ませんでした。そう思っていた矢先、神戸の中央市場で働いていた息子(3代目井上智博)が「大阪から故郷である小豆島に帰り、跡を継ぐ。」と言った時に私は本当に心の底から嬉しく思ったのです。(続く)


Olive11(2008年9月1日発行)
せいこうえんだより10   「井上誠耕園ものがたり」 第八話 
井上勝由(二代目)談
 元々宮大工の家系だった井上家。昭和15年に初代井上太子治(いのうえたすじ)がみかんの木を、そして昭和21年にオリーブの木を植えたことから井上誠耕園は始まりました。そしてその後、様々な苦労を重ねながら収穫したみかんやオリーブを小豆島のお土産として販売し始めました。
 私が「自然と大地の恵みに感謝を込めて、誠意を持って大地を耕す園でありたい。」と名づけた井上誠耕園の理念そのままに、息子(三代目井上智博)が家業を引き継いでくれました。息子は息子なりに苦労もあるでしょうが、家業を一生懸命続けてくれ、私も及ばずながら力になれればと今も朝早くから園地に向かう日々を送っています。ただがむしゃらに夢中でやってきたことが、皆様に喜んでいただけるようになったこと、77歳になっても健康でいられることに心からありがたいなと思っております。また、これからも日々感謝の気持ちで園地のオリーブやみかんの栽培に力を注いでいきたいと思っております。これからも井上誠耕園をどうぞよろしくお願いいたします。
 今までお読みいただき、ありがとうございました。 (終)

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